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「ととのう」とは?近畿大学の学生によるテントサウナ企画:Saunager(サウネイジャー)

更新日:2022年11月17日


関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は、現役の近畿大学3年生で、テントサウナで事業を展開し、法人設立を目指す【Saunager(サウネイジャー)】代表の谷勇紀(たに ゆうき)さんにお話を伺いました。


取材・レポート:垣端たくみ(生態会事務局)

大橋真衣(学生スタッフ・写真撮影)




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谷 勇紀氏 略歴:近畿大学経営学部3年生、バイオコークス燃料を使ったエシカルなテントサウナ:Saunager(サウネイジャー)の代表を務める。近畿大学に入学後、同大学の起業家育成プロジェクトに参加後、テントサウナ事業に取り組む。更なる業界への参入・顧客理解を目指を目的に「アウフギーサー(熱したサウナストーンにアロマ水などをかけ、そこから立ち上った蒸気をタオルなどで仰ぐサウナパフォーマンスをする人)」としても活動。法人設立も予定している。

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■アウトドアでサウナができる『テントサウナ』とその活動について


生態会事務局 垣端(以下、垣端):本日はお時間をいただきありがとうございます!早速ですが、現在の事業内容や活動を教えていただけますか?


Saunager 谷さん(以下、谷):まず一つは、テントサウナのイベントの主催をしています。公園やビーチなどの場所を借りて、自分で集客をし、時間貸しでテントサウナを使って頂くというものを一日何部かに分けて主催しています。


二つ目は、近畿圏でのテントサウナが集まるイベントに出張参加しています。また最近では、テントサウナを所持していない温浴施設さんなどから、イベントをしてみたいという要望があれば、備品のレンタルと自身もスタッフとなってイベントの運営を代行・お手伝いをします。また、事業ではないのですが、サウナ施設でアルバイトという形で、サウナに入っているお客様にバスタオルで風を送るサービスも行っています。その活動から、他県の大会に出場もしています。


垣端:とても面白いですね!そもそもテントサウナというのは、何なのでしょうか?

谷:テントサウナというのは、アウトドアでサウナができるテントやそのサービスのことを言います。断熱性のある特殊なテントの中で薪ストーブをつけて焚くと、テント内は100℃〜最大120℃くらいまで高温になります。自然の中でできるので、そのまま水風呂代わりに川や海に入って、最後に休憩することもできます。


垣端:大自然をフル活用していて素晴らしいですね!


谷:そうですね。あとは、仮設プールを水風呂として活用することもあります。利用の幅としては広くて、プールを持っているホテルやお風呂のある施設で、一つのコンテンツとしてイベント的にテントサウナを開催します。またコロナの影響でこの2年くらいでブームが起こっていて、施設に行けない人や裕福な大人の方が買って、自分の庭で楽しむという形で普及しています。


■エシカルな燃料:バイオコークス


垣端:バイオコークスという燃料を使っておられると聞いたのですが、どういったものなのでしょうか?


谷:バイオコークスは、石炭の代替として作られたもので、捨てられるようなバイオマス(植物)などの単一の原料を圧縮して固め、密度の高くてコンパクトな塊にしたものです。火をつけると石炭よりも高火力で燃えます


僕は以前から、サウナに関わる何かをしたいと考えていました。そして将来的にサウナを作りたいと思ったので、テントサウナは自分が管理できる範囲でミニマムで始められるものかなと思い、持ち始めました。その過程でたまたま自分が通う近畿大学で特許があったバイオコークスに目をつけました。そしてテントサウナ事業を進める過程でバイオコークスを有効活用したいと考え、すぐに研究所の井田民男教授に連絡を取りました。実験を経て有用性を実感でき、文脈的にもSDGsなどの観点からも将来性があることから、一般の方への窓口としてサウナに使えると考え、バイオコークスの利用をスタートしました。


垣端:井田先生とはどのようにコンタクトされたのですか?


谷:最初はメールをして、サンプルをいただいてから学校でお会いして、実際にストーブに入れてみる形の実験からスタートしました。


垣端:もう少し実証実験の詳細を聞きたいのですが、安全性などどういったところに注目されたのですか?


谷:最初は安全性に対する不安もありました。薪に比べて火がつきにくい特徴があると聞いていたので、先に薪で温度を200℃くらいに上げておいて、そこに投入する形で使用しました。そしてサウナの温度として問題がないかなど検証しました。その次に、井田先生と同じ研究所の冨田先生にも実験にご協力いただき、その時に、より専門的な観点で燃焼について学びました。バイオコークスをテントサウナで使っていくうちに段々と使い勝手も理解しました。


垣端:使い勝手的には、他のサウナをしている方や一般の方でも使えそうですか?


谷:そうですね。着火させるという面ではもちろん可能ですが、薪に比べると少し火がつきにくいかもしれないです。しかし燃焼時間が長かったり煙が少ないなどの利点に加えて、体積が小さいので持ち運びも便利です。


垣端:環境への配慮もとても良いですね!


谷:ルーツ的に、バイオコークスの原料となるものは今まで焼却や灰にして処理されていましたが、一旦燃料になってエネルギーになるので、循環型社会の達成に寄与できるものなのかなと感じます。


垣端:今のお客さんはイベントへの参加者が多いですか?また、どんなお客さんが来られるか教えてください。


谷:やはり若い男性が多いですが、きちんと宣伝されたイベントへは女性客も多く、女性3人組で来られる方もいます。二十代や三十代の方が一番多いですね。僕が使用しているサウナは、大きいモデルなので最大十数人が入ります。テレビでジャニーズや芸人の方が紹介されている影響もあって、既存のサウナよりは客層は若いなと感じます。


垣端:女性も来られるのですね。谷さんのテントサウナは思ったよりも人が入るのですね!


谷:はい。扇ぐことも可能な場所があるので、先ほど述べたようにアウフギーサーとしての活動とのシナジーも生み出せると考えます。テントサウナとバイオコークスの関係で言うと、バイオコークスをバイオフレアという名前で小売りしている滋賀の企業さんがいます。その方が、2022年3月に東京のホテルニューオオタニさんで、プールの使用休止期間の五日間を使って、プールサイドにテントサウナを並べるイベントをしました。その時の燃料は全てバイオコークスでした。


■今後の事業展開と活動、そもそもの起業のきっかけ


垣端:テントサウナに必要不可欠な存在であるバイオコークス。いいですね!今後の予定として、法人化や売上の立て方などはどのようにお考えですか?


谷:まず一つは、テントサウナをこれから運営していきたいという方へのコンサルティングをしたいです。二つ目は、自分自身や他の企業さんとコラボをして、大阪の自然豊かな場所でイベントをしたいです。長期的な計画では、テントサウナに限らずバイオコークスを燃料としたサウナを自分で開発するところに関わりたいです。


例えば地域で出たゴミをバイオコークスにして、それを燃料とするその地域の燃料を生かしたサウナを作りりたいです。地域の個性を活かしたり社会的にも貢献できる施設を作って、最終的にはフランチャイズなどで全国に広げていきたいと考えています。法人化に関しては、今頂いている案件やお仕事も会社にすることで単価が上がったり信用性が増したりするなどやりとりしやすくなると考えます。今は学生ですし、デメリットは少ない段階なので法人化を進めていこうかなと考えています。


垣端:テントサウナやこの活動を始めたきっかけはありますか?


谷:幼少期から銭湯が好きで、2年前に銭湯にある水風呂はサウナの後に入るためにあることに興味を持ちました。もう一度自分で試してみようと思い、入ってみるとすごく気持ちよかったです。感覚が研ぎ澄まされたような、体にも効果を感じてハマりました。そしてアルバイトも銭湯で始めました。やっていくうちにお客さんにサウナのサービスをすることに楽しさを覚え、サウナ周りの人との関わりにも魅力を感じました。


自分で活動をしようと思ったきっかけは、大学に入学したものの、コロナで登校する機会がなく、将来に対する焦燥感を感じていました。2年生になって大学にも徐々に行く機会が増えて、近畿大学は起業やその他の活動に力を入れていたこともあって、「色々なプログラムに参加していくうちに自分で事業をするのなら好きなことをもっと広げていきたい」と考えました。


垣端:近畿大学の起業家支援のプログラムが大きかったということですね。どのような学びがありましたか?


谷:一番最初は何をやって良いかわからなかったのです。しかし、プログラムのメンターの方に事業案の壁打ちをして頂き、仲間と出会ったことで、何でもやってみないと分からないということを実感しました。とりあえずなんでもやってみるということの大切さとハングリー精神を学びました。


垣端:その精神はとても大切ですよね。これらの事業をしていく上での直近の課題などはありますか?


谷:自分が会社をやっていく上で、自分の会社のサイズや信用を上げるために仲間と自分のレベルアップを強化したいです。テントサウナを運ぶ筋肉も鍛えないといけないですね(笑)

テントサウナの道具を運ぶ車もいりますし、今の既存のお仕事をスケールするならば、同じ動きができる人間を増やし組織化が必須になります。資金調達の面では、今後サウナ施設を作るとなると、自分やその活動の知名度を上げる必要があると感じます。「誰がやる」サウナが重要視されている今は、もっと自分を売っていってクラウドファンディングや大企業さんとのやりとりも大切なのではないでしょうか。


垣端:最後に、この1年間どのように事業を進めていきたいかなどの構想を教えてください。


谷:今は、ホテルさんがテントサウナをやりたいという声があるので、自分のコンサルティングをパッケージ化しようと考えています。そのために信用を高めるという意味で法人化も進めていこうと考えています。また、自身の知名度を上げて、まずは関西圏でのイベントの総数を増やしていこうと考えます。



取材を終えて:

自分の好きなことを磨いて、ビジネスに落とし込んでいくということの素晴らしさを感じた取材でした。ただサウナが好きだからテントサウナをするのではなく、燃料など環境の社会問題にも目を向けて、新しいものを取り入れていこうという谷さんの姿勢はとても魅力的で、バイオコークスを使ったエシカルなテントサウナに挑戦したくなりました!近畿大学の起業家育成のモットーである「何でもやってみないと分からないから、とりあえずなんでもやってみる」精神は同じ学生である私も見習わなければいけないなと思いました。(学生スタッフ 大橋)





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