生態会では、シェアオフィスを訪問して運営者にインタビューをし、提供する起業支援、強みや弱みについて迫っています。(過去の紹介記事はこちら:オギャーズ梅田、The DECK、billage OSAKA、SERVCORP、GVH Osaka、GVH#5、KYOTO MAKERS GARAGE)
今回は、シェアオフィス訪問番外編。大企業とともにスタートアップを支援する、世界トップレベルのグローバル・ベンチャーキャピタル/アクセラレーター「Plug and Play Kyoto」のディレクター高元 丈治さん、マーケティング神野千代さんに、2020年1月初旬、お話をうかがいました。「Plug and Play Kyoto」のオフィスが位置するのは、四条烏丸の「engawa KYOTO」。”京間のようにくつろげる空間”が印象的な、電通が運営する事業共同拠点で、コワーキングスペース、シェアオフィスなどがありました。
取材・レポート:生態会事務局 西山裕子、森令子
生態会(西山):シリコンバレーや渋谷のPlug and Playには何度か行っていますが、京都は初めてです。グローバルに成功しているPlug and Playが京都にも!ということで、本日は大変楽しみにしていました。
Plug and Play(高元):私たちはシリコンバレー発の大企業 ×スタートアップのイノベーションプラットフォームです。京都オフィスは2019年7月オープンで、12月から初のアクセラレーションプログラムがスタートしています。
生態会(森):プログラム概要を教えてください。
Plug and Play(高元):約3ヶ月のプログラムでは、業界などの “テーマ” を主軸として、グローバルレベルのスタートアップへとスケールするようメンタリング、ワークショップなどで支援、3ヶ月後には成果発表会(EXPO)でピッチを行ってもらいます。京都のBATCH 1(バッチワン:進行中のプログラム)は海外5社、国内10社の計15社、パートナーは、島津製作所、京セラ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、電通、大日本住友製薬、大阪ガスです。京都では、プログラム期間中はここengawa kyotoを使えます。
企業とのマッチングでスタートアップのビジネスを加速させ、同時に、企業のイノベーション戦略にとっても最適なスタートアップを紹介できるようにつとめています。
生態会(西山):シリコンバレーのPlug and Playには、昨年夏の「生態会ビジネス実践ツアー」でも訪問しましたが、大勢のスタートアップで本当に盛り上がっていました。
Plug and Play(神野):本社はシリコンバレーのサニーベールです。創業者サイード・アミディの営んでいたペルシャ絨毯屋がはじまりです。お店上階をスタートアップに貸すことにしたのですが、絨毯屋の客にはお金持ちが多く、スタートアップへの資金調達が実現することも多くありました。入居したスタートアップから、Logitech、PayPal、Googleなどが生まれ、サイードのビルは伝説の場所となりました。スタートアップの可能性を確信したサイードはPlug and Playを立ち上げたのです。現在、世界中に30以上の拠点があり、各拠点でそれぞれ異なるプログラムを行なっています。
生態会(西山):昨年、東京のBATCH成果発表会に出席し、Fintechがテーマで非常に充実していました。参加スタートアップはどうやって決めているのですか?
Plug and Play(高元):全世界から募集したスタートアップ数百社から、まずは20〜25社に絞り、セレクションディでのピッチでさらに10〜20社を採択します。パートナー企業もセレクションに参加しています。一部シードもいますが、シリーズAくらいで、パートナー企業が興味ある分野のスタートアップが多いです。
参加スタートアップはグローバルな拠点間での紹介が多く、そのほかVCの推薦、スタートアップ自身の応募などもありますが、パートナー企業のニーズを理解したうえでスタートアップを集めています。企業とスタートアップの一対一の連携だけでなく、複数の企業と複数のスタートアップの横の連携をつくり、より可能性を広げられるのも我々の強みです。
生態会(森):Plug and Play Kyotoのプログラムテーマは「ハードテック&ヘルス」ですね。ハードテックについては、先日訪問したKYOTO MAKERS GARAGEでも京都の「ものづくり」は世界最高レベルとのお話しを聞きました。
Plug and Play(高元):ハードテックをテーマにしているのは世界中でも京都だけです。例えば、iphoneをみても、多くの京都企業の技術がつめこまれたプロダクトです。産業構造としても中小企業が”ものづくり”をしっかりと支えています。IoTをテーマにしたプログラムは世界中でやっていますが、ハードテックは京都だからこそのテーマといえますね。
生態会(西山):Plug and Play自体は、どのようなビジネスモデルなのでしょうか?
Plug and Play(高元):私たちの特徴は、アクセラレーターだけでなくベンチャーキャピタルでもあることです。収益の柱はVC事業で、プログラムに参加した有望なスタートアップなどを対象に、シード・アーリーステージの投資を実施、毎年1〜2件はユニコーンかユニコーンに近いEXITがあります。全世界で200件以上、50億円ほどの規模です。本社のあるシリコンバレーの案件が多いですが、2019年9月に日本での第1号案件の投資が決まりました。今後は、国内で年間10社、京都でも年間2〜3社の投資を目指しています。関西の有望なスタートアップは常に探していますよ!
生態会(森):最後に、起業家へのメッセージをお願いいたします。
Plug and Play(神野):毎月、イベントを開催しているのでぜひ来てみてください!ほぼ全てのイベントは無料です。ハードテック&ヘルスだけでなく色々なテーマがありますので、起業家から企業の皆様まで、幅広い方にご参加いただき、雰囲気を感じて欲しいです。
Plug and Play(高元):「関西からユニコーンを生み出す!」というのが私のミッションです。しかし、起業の絶対数が、関西だけでなく日本全体でもまだまだ足りないと感じています。アクセラレーションプログラムの充実を含め、レベルをあげるには母数が必要ですし、スピード感も大事です。例えば、我々の投資判断にしても、世界中のスタートアップとの比較になるため、国内市場だけを目指す規模では勝負になりません。生態会さんも含め、関西の起業支援環境も整ってきています。我々のようなプログラムを活用して、ぜひグローバルな起業をしてほしいと思います。
Plug and Play のプログラム募集についてはこちら
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