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執筆者の写真西山裕子

地域メディアのニューノーマルに!地域ごとに作るスマホアプリ:CiPPo(シッポ)

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家。今回は、市・区・駅ごとにフランチャイズで作る地域向けスマホアプリCiPPoを開発運用しているCiPPo株式会社(本社:兵庫県西宮市)の代表取締役、横山 哲也(よこやま てつや)さんにお話を伺いました。CiPPoは検索をしなくても快適に使える新しい地域メディアとして、全国45箇所で運用が始まっている大期待のアプリサービスです。

取材・レポート:西山 裕子(生態会事務局長)

八木曜子(生態会ライター)


 

横山 哲也(よこやま てつや)代表取締役 略歴

1977年 兵庫県出身。高校卒業後、大阪で飲食店や美容サービス、IT制作会社(株式会社9view)、西宮の習い事スクールYeePa株式会社などの多数の会社設立&売却を経験。


現在4社経営。2018年から経営する別会社でアプリCiPPoの開発を始め、2020年9月30日CiPPo株式会社設立&サービスを譲渡し現在注力中。


 

■地域情報集約のニーズから企画開発

生態会 西山(以下、西山):本日はお時間いただきありがとうございます。まずは横山さんのご経歴と、アプリ開発までの流れを教えていただけますか。


CiPPo株式会社 横山さん(以下、横山): 高校卒業後、イタリアンレストランを経営していました。販促に注力し、25歳から10年右肩上がりで結構儲かったんです。その後「これからITが来るぞ!」と思って、会社を立ち上げました。お店の利益を全てつぎ込んで、美容や結婚式場向けの動画サービスなど、10個以上の企画を進めました。2017年頃には、西宮で200種類の習い事を1箇所でできるという“YeePa!“を立ち上げたのですが、ローカル地域では出稿できる媒体がなく、販促が難しいことに気づきました。その気付きから地域に特化したアプリを作ろうと決めて2018年3月から開発を始め、2020年に完成しました。コロナ禍によって注目が集まりましたが、それより前に開発をはじめていたんです。


西山:高校卒業以降、ずっと独立して活動されているのですね。現在はCiPPo株式会社のみ

経営されているのですか?


横山:4社の代表取締役を務めていますが、CiPPo以外は他のメンバーに運営含め任しています。CiPPo株式会社は2020年の9月30日に登記して、2021年5月末くらいから実際に動き出しました。現在の従業員は15名程度で、営業を特に募集しています。チームとしては、東証一部上場企業の社長や、元BCGや元リクルートのアドバイザーが入っています。


■地域特化型の福利厚生サービス

西山:CiPPoのサービスは、どうやって拡めているのですか?


横山:フランチャイズシステムで、地域に展開しています。積極的な提案は最近始めたところで、現在利用頂いている45地域のうち那覇市以外は口コミや紹介で広まっています。自分たちの地域でアプリを0から立ち上げるのは大変なので、FCモデルは喜ばれています。FC先としては東京の電鉄会社さんや新聞配達店からのオファーがあり、新聞のDXというイメージで契約いただいています。


西山:新聞のDXとは、面白い表現ですね。どのようなモデルで、運用されているのですか?


横山:実は広告出稿モデルではなく、広告は無料で地域の事業者さんに優待サービスを利用していただくという、地域特化型の福利厚生サービスモデルです。事業所がアプリ加盟店向けに地域最安値の優待プランを提案する形で、福利厚生サービスを事業所の従業員が1人500円で契約してもらえれば、写真付きのお店専用ページを用意します。福利厚生サービスの契約者数次第で、アプリ内の表示が変わるモデルにしています。お金をもらいながらダウンロードされ、アクティブユーザーを得られるという、一石三鳥のビジネスモデルです。ローカル地域では広告出稿が好かれないので、喜ばれています。



CiPPoのサービスモデル

西山:広告モデルではないのですね。CiPPoの特徴を、もう少し説明していただけますか?


横山:Google検索をしなくても、快適に生活できる地域アプリを目指しています。Googleでは、小さな地域の商圏で営業している事業所などは、検索上位に出にくいですよね。また、文章と写真で検索できる、特許出願済みの自社開発の検索エンジンを利用しています。このAI搭載エンジンには、広辞苑などの文章を学ばせているので、日本語で意味のある文章を理解できます。その検索エンジンを利用することで、文章で困ったことをつぶやくだけでアプリが候補先を教えてくれます。


事業者側はお客さんになりそうなところとプッシュ通知でつながり、ユーザーの質問に答えることができる仕組みになっています。さらに、今いる場所から営業中のお店を近い順番に表示できるようにしているので、本当に使える地域アプリサービスだといえます。今はお店を増やす段階ですが、サービスの精度はこれからどんどん上がっていく予定です。



2つの検索エンジンのうち1つは特許出願済み

■市民目線で、本当に使いやすいサービスを目指す

西山:文章に強い、検索エンジンを開発されたんですね。他にはどういう機能がありますか?


横山:災害情報や防犯情報として、川沿いに現在居る方だけに避難情報、駅から半径500mの方に不審者情報をプッシュ通知で送っています。


その結果プッシュ通知ON率が90%を超えています。町毎に安否確認を取ることもできますので電子回覧板として行政が取り入れる事例が出てきています。位置情報を利用することで、認知症の方や、こどもの迷子などがどこに居るか。地域の方に探してもらう機能やSOSを押して登録している方に知らせる事などができます。行政には無料で提供し、公民連携協定などを結びつつ、休校や災害などの情報を行政側でアナウンスしてもらうことを想定しています。


西山:たくさんの市民目線の機能が入っているのですね。参考にされたサービスなどはありますか?


横山:参考サービスは、ありません。いままではこういったものは東京の会社が運営していたのですが、地域の会社がフランチャイズモデルで運営することにより、アウェイ感がなくなり地域に受け入れやすいと考えています。地域特化型の福利厚生代行サービスとして地域最安値優待サービスとして利用していただくことにより、同じ地域のお店同士で使い合うことで、地域経済を成立できます。売上もその地域に入るので、消費、所得という地域での経済循環ができ、地方創生にも一役買うと信じています。


西山:競合は、どのようなサービスになりますか?


横山:福利厚生代行サービスや、ニュースアプリクーポンです。が、既存のものは掲載されているものが大手チェーン店ばかりで、地方で本当に使えるものではないです。また導入先も大企業や100人以上の企業ばかりの案内で、飲食や美容などの小さな事業所などのサービス業に導入されていないのが現状です。ここを狙い目と考えていて、全国500万人年間300億円の売上を目指しています。


■大企業の考え方に触れ、モードが変わった


地方からの、大きな夢を語る横山社長

八木:横山さんは、独立され会社経営の経験を豊富におもちですが、どういった理由からスケールするスタートアップに挑戦されたいと思われたのでしょうか?


横山:このサービスの開発中に、東証一部企業の社長さんに相談したことがあります。アドバイザー兼株主でどうかと提案をいただきました。同時期に元BCGの友人も乗ってきて、モードが切り替わったという形です。


後はOSAPに参加させて頂いた事で大きな影響を受けました。OSAP以前は自分の価値観のみで経営していましたが、大手企業やVCの考え方に触れることも大きな刺激になり、とても良い学びになりました。何百億というビジネスモデルを意識したのはOSAPがきっかけですね。地域内での経済循環を大切にしつつ、地方創生に役立ち、地域広告の新しい形を実現したいと考えています。


 

取材を終えて

CiPPoは本当によくできたビジネスモデルで、広告出稿の次のフェーズのサービスだと感じました。住人目線で使いやすい機能を多数搭載し、地域へアプリサービスで貢献するという横山さんの強い意思も感じました。多くの経営経験を持つ、横山さんならではサービスだと思います。CiPPoを利用し始めて、ひと月以上経ちましたが、防犯情報や地域ニュースの掲載など、使いやすさを実感しています。これからの飛躍が楽しみなサービスです。 (ライター 八木)





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