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執筆者の写真西山裕子

ホテル版Shopify事業者が自ら集客するための宿泊予約エンジン: CHILLNN




関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は、個性派の小規模なホテルの宿泊エンジンを提供する、株式会社CHILLNN(チルン)の 代表取締役 永田諒氏にお話を聞きました。

取材・レポート:西山裕子(生態会事務局)

田中賢(学生ボランティア)


 

永田 諒(ながた りょう)氏 略歴

1994年生まれ、長野出身。東京大学 後期教養学部 学際科学科 総合情報学卒業。システム開発専門企業に、テックリードとして参加。国内外の企業と20以上のアプリケーションを、設計からフルスクラッチで開発・運用を行う。

在学中に独立し、大学の友人であった龍崎翔子と共に、株式会社CHILLNNを創業。卒業後は住居を関西に移し、株式会社CHILLNNの経営を行う。

 

西山: 本日は、よろしくお願い致します。まずは事業内容を教えてください。


永田:「宿泊体験を拡張する直接予約エンジン」をスローガンとして、宿泊予約エンジンを開発・販売しています。


マーケティング戦略について、熱く語り合いました

西山:社名の「CHILLNN」とは一体どういった意味があるのでしょうか?


永田:開業当時の2018年の八月ごろ、まさにフリースタイルダンジョンなどのHIPHOPカルチャーがはやり始めたころ、「CHILL」という概念が日本に広まり始めた頃に「CHILLなINN」略して「CHILLNN」としました。


西山:なるほど。どのような経緯で、創業されたのですか?


永田:共同経営者の龍崎翔子が宿泊施設を経営しており、その時に抱いていた宿泊施設側のペインを元に、「CHILLNN」を創業しました。現在もグループ会社の水星にて、HOTEL SHE KYOTOや、石川県金沢市の香林居など、ホテルビジネスを展開しています。

 

西山:龍崎さんのペインとは、どういうものだったのですか?


永田:当時、龍崎の経営するホテルの系列店では、国内大手のOTA(Online Travel Agent)である楽天トラベルが無料で提供しているRwithというサービスを利用していました。このサービスは、楽天トラベルがプラットフォーム上で最安値を登録してもらうための施策として、無料で提供していたものです。UIが古いままで、機能の更新が行われていませんでした。経営していた施設は、どれもSNSを利用したダイレクトマーケティングによる集客に力を入れていたため、世界観を毀損しない、自由度の高い予約エンジンが欲しいというペインが存在していました。


宿の世界観を崩さず、ノーコードで予約エンジンを提供できる

西山:CHILLNNでは、どのような予約エンジンを、提供しているのですか?


永田:三つのタイプを提供しています。社内ではBASEと呼んでいる簡易版の予約ページ、雑誌のように訴求ができる予約エンジンのMagazine、ノーコードで自由に予約ページを作成できるSnack、この三つです。施設側が好きな予約ページを使用でき、世界観などを崩さず、お客様に宿泊体験を提案できます。


西山:「宿泊体験を提案する予約エンジン」とは、具体的には?


永田:CHILLNNで特にご好評いただいている機能として、オプション機能があります。宿泊商品を小さく分けて、販売できる機能です。朝食の有無や貸切のサウナなど、自由度高く宿泊体験をカスタマイズできます。施設側からすると、顧客単価を上げることができ、アップセル投資につながります。従来、宿泊商品の料金は、プランという単位でパッケージングして扱われていました。


この扱い方による弊害は、主に2つあります。1つ目は、軽微な変更(朝食の有無など)によって料金の異なる場合に、プランを複数作らなくてはならないことです。どなたでも一度はホテルの予約サイトで、プランが大量に羅列されているのをみたことがあるのではないでしょうか?


2つ目は、新規のプランを作成する際、内部の稟議フローが複雑になってしまうことです。宿泊業界はレガシーな業界ですが、その分、時勢に合わせた迅速なマーケティングで大きな差を生み出すことができます。オプション機能によって切り分けられた付加価値を組み合わせて、新しい提供価値を簡単に生み出すことができると、施設の商品開発能力を上げることが期待できます。複雑な商品をシンプルな予約動線で表現することで、お客様に施設の魅力を余すことなく伝えられることを「宿泊体験の拡張」と表現しています。


西山:確かに、プランが大量に表示される予約サイトを見たことがあります。


永田:そうですよね。CHILLNNを導入してくださる施設の多くは、別システムからのリプレイスです。世界観を大切にしたい、さまざまな体験を追加したい、といった施設様から支持していただいています。


観光大国 日本の宿泊施設を支えたい

永田:現状、600施設ほどが導入し、アカウント開設は1000施設くらいです。10部屋以下の小規模施設が多くて、経営者も一緒に働いているような施設です。


西山:なるほど、そういった施設は確かに個性的で、世界観を伝えることが重要だと思います。マーケット規模は、どれくらいですか?


永田:オンラインで予約を取っているのが4万ほどで、僕らのターゲットの規模は6000施設ほどです。現在このターゲットに絞っている理由として、このマーケッの問題を解き切りたいこと。また、機能面で複数施設に対応しきれていない現状があるためです。ただ今後、マーケットのシェアを拡大していきROIや、マーケティングコストが合わないなとなったら、ターゲットを広げていきたいと思っています。


人材育成にも力を入れている

西山:小規模施設に対して、どのような形で導入していただいているのですか?


永田:まず、売上に関わらない固定費として、施設様ごとに月額10,000円をいただいております。その他、変動費として、売上に対して3%の手数料をいただいております。手数料は月額9,800円を支払っていただくことで0%にすることも可能です。我々はこれを定額チケットと呼んでいます。定額チケットは繁閑に合わせて、いつでも購入可能になっています。


西山:御社の社員数は、どれくらいですか?


永田:実は社員はCHILLNNでは二人だけで、今エンジニアサイドのインターンが4人、Bizdevのインターンが2人で、エンジニアサイドのインターンが一人来年から社員として入社してくれます。


西山:少人数で、されているんですね!


永田:はい、ただ今後事業を拡大していくのに、やはりインターンだけではなく社員の雇用もしないといけないなと考えていて、今採用に力を入れているところです。


初めて登壇したという、生態会のマッチング会(2022年3月)

西山:どんな人材を求めていらっしゃいますか?


永田:現在積極的に募集しているのは、セールス人材ですね。今年はコロナもあけて宿泊業も完全復活していくと思うので、それに合わせてどんどん導入施設数を増やし、グロース していきたいと思っています。

未経験の方も大歓迎です!特に、IT業界への転職を検討しているサービス業の経験者の方などは、ぜひお話しさせていただきたいです。

 

取材を終えて

20代の経営陣を中心に、優秀なインターン生も活用しながら、先端技術の開発運営をするエネルギーにあふれた会社です。ピッチコンテストなど表舞台にあまり出ないものの、実直に顧客の声を聞き、売上や利益をしっかり得ている話には感心しました。京都をベースに今後どうグロースしていくのか、期待できる企業です。コロナで変化した宿泊の在り方を変えるポテンシャルもあり、予約システムを作るだけでなく、新サービスやオプションを宿泊客に提案していく仕組みを提供しています。小規模ホテルであっても、心強く頼れる存在であると思います。 (学生ボランティア 田中賢)



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