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最先端のWeb3.0技術を活用して、人々の行動を変化させ、体験に価値を与える:アニドライブ株式会社

執筆者の写真: 敦志 中野敦志 中野

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は最先端のWeb3.0の技術を使って人々の行動を変えようと、新しい挑戦を次々に打ち出すアニドライブ株式会社の共同創業者で代表取締役の甲斐義人さんにお話をお伺いしました。

元りそな銀行という超ド安定なキャリアからスピンアウトして、なぜブロックチェーンというまだまだ認知されていないWeb3.0業界に惹かれていったのか、など創業への思いとこれからの事業展開についてお聞きしてきました。


        取材・レポート:垣端たくみ(生態会事務局)、中野敦志(ライター)

 

甲斐 義人 (かい よしと)氏 略歴

兵庫県川西市出身。りそな銀行で法人営業に従事し、最年少オフィサーに就任。13年の在籍後、M&A仲介大手のストライクに入社し、コンサルタントとして成約実績を積む。ストライク在籍中にWeb3.0技術の「ANICANA(アニカナ)」と出会い、その独自性に魅せられた。「ANICANA」をビジネス商材として広めるために専用実施権を取得し、アニドライブ株式会社を共同代表の小倉佑太氏とともに起業。

 

■ブロックチェーン技術と暗号通貨は難解であり偏見を生みやすい


生態会 垣端(以下 垣端):本日は、どうぞよろしくお願いします!まず最初に事業概要を教えてください。


甲斐 義人 氏(以下 甲斐):ブロックチェーンと呼ばれる最先端のWeb3.0の技術を使い、商品の消費行動だけでなく、「遊ぶ」や「学ぶ」、「動く」などの人々のあらゆる行動自体にインセンティブを与えるための仕組みづくりを提供する会社です。


そのためのツールとしてレヴィアス社が開発した「ANICANA」という技術を使っています。アニドライブ社ではこの「ANICANA」の専用実施権を取得。専用実施権とは、特許に近い権利で、他者からの侵害時に訴訟ができる権利を有しているものです。


垣端:「ANICANA」についてもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。


甲斐:「ANICANA」の最大の特徴は、独自のブロックチェーン技術を活用し、ユーザが法定通貨(日本円)を受け取れるというのが最大の強みです。こういうとすぐに「怪しい」となってしまうので困っているのですが。


垣端:ブロックチェーンというとわかりづらくて、しかも”=(イコール)暗号資産”と捉えられて悪いイメージを持っている人も多いですね。


甲斐:はい、以前にピッチで登壇した時に、15分という珍しく長い時間をいただけたので気合を入れて資料を作ったのですが、ブロックチェーンやNFTなどの専用用語だけが注目されてしてしまい、本当に伝えたかったことが伝わらなかったという経験をしました。


通常、インセンティブとして日本円を受け取る場合、資金決済法などのややこしい手続きが発生するケースがあります。しかしこの「ANICANA」では、ユーザー自身が生成したNFT「アルカナ」を売却することによって日本円を受け取っているため、様々なレギュレーションをクリアできております。


垣端:それはものすごい仕組みですね。他にはどのような特徴があるのですか?


甲斐:「ANICANA」のもう一つの大きな特徴は、強いインセンティブを与えることができるという点です。日本の景品表示法では商品購入などによって付与されるポイントやインセンティブは最大販売価格の20%まで(総付の場合)と決まっています。ところがこの「ANICANA」は、景品表示法の枠組みから外れるため実質的にそれを越えてインセンティブを付与することができるのです。

人々の行動を変えるほどのインパクトを与えられる「ANICANA」のインセンティブ付与のイメージ
人々の行動を変えるほどのインパクトを与えられる「ANICANA」のインセンティブ付与のイメージ

垣端:つまりこの「ANICANA」を使うことで、事業者側は今までになかった大きなインセンティブを付与することができるので、新規開拓顧客などユーザーを惹きつける効果があるということですか。


甲斐:はい。人々の行動を変化させるほどの大きなパワーを持ったツールと言えます。この仕組みについての監修は、国内四大法律事務所と呼ばれる事務所にお墨付きをいただいております。

わたし自身「ANICANA」に無限の可能性を感じたので、安定していた職を捨てて、起業するに至りました。


■具体的にどのような導入事例があるか


垣端:実際に導入されている「ANICANA」はどのようなものがあるのですか?


アニカナゴルフ
アニカナゴルフ

甲斐:比較的わかりやすいものとしてアニカナゴルフというゲームがあります。ゴルフコースを回りホールごとにPAR以上を出すとホールインワンチャレンジに進めます。そこで成功するととトロフィーが貰え、そのトロフィーをプレイヤー自身がNFT(アルカナ)を生成する(ボタン1つで完了)と、マーケットプレイスで売却し日本円を受け取ることができます。

他のゲームでも暗号資産を稼げるものはありますが、仮想通貨を日本円に換金するには口座を作成する必要があったり、日本円と交換可能な仮想通貨に何度も変換したりと手間が多いし、都度手数料が発生します。


ゲームに関しては、多くのゲーム会社様と協議させていただいており、今後は日本のアミューズメント界を変えていけるような可能性を感じています。


垣端:これは最近言われるようになった「X to Earn(何かでトークンを稼ぐ)」の1つ「Play to earn」ですね。他にはどのようなものがありますか?


ワークアカデミー社の「not+connect」
ワークアカデミー社の「not+connect」

甲斐:大阪にある教育研修会社のワークアカデミーさんと協業でリリースした「noa+connect」というものがあります。先ほどの「X to Earn」でいうと「学び」で「Learn to Earn」です。

これは、ワークアカデミーさんの講座を受講したりイベントに参加するとポイントがもらえて、それをもとにユーザー自身がNFTアルカナを生成し、学びの体験を資産に変えることができます。それだけではなく将来的にはこの学ぶ姿勢やその成果をブロックチェーンに記録してNFTの「学びの履歴書」として就職や転職に活用することも想定されて開発しております。


垣端:学びながら稼げて、将来的には「学びの履歴書」としてNFTが就職や転職に活かしていけるとしたら、日本のリスキリング熱は高まりますね。

 

甲斐:NFTという観点で行くと、「PERSONA REALITY(ペルソナリアリティ)」というサービスを展開しています。これは最近すごく熱を帯びている推し活にNFTを活用するというものです。


垣端:推し活をNFTですか?いわゆるカードゲーム的なものですか?


推し活×NFT
推し活×NFT

甲斐:そうですね、カードゲームのような使い方も可能な設計になっています。カードゲームによくある、この推しの人の歌唱力は何点、演技力は何点、総合力は何点、という風に点数は固定値となりますが、NFTでは可変になります。人気が出れば出るほどその点数があがっていくという仕組みを実装することが出来ます。

ただメイン機能としてはNFTを保有することの特典を自由に設計できるという点です。特典を後付けすることも可能で、例えば歌手が全国ツアーという目標を設定しNFTを販売、その後目標達成した際にNFTを所有している方しか参加できないライブを開催するということも可能になります。


その”推し”から引退する時にはそのNFTをマーケットプレイスで他者へ販売することができます。「PERSONA REALITY」では、個人売買時の取引手数料が、”推し”の演者に入る仕組みとなっていますので、ファンも納得して売買ができます。

 


■NFTを現金化できる仕組みは世界初


垣端:いま現時点で「ANICANA」の競合相手となるものは何でしょうか?


甲斐:「ANICANA」の話をしていると、よく「それってポイントでいいんじゃないですか?」と言われますのでポイントかな。最近では「ポイ活」とも呼ばれてポイント市場も活性化しています。「ANICANA」とポイントとの最大の違いはユーザーの利便性と設計の柔軟性です。


垣端:顧客に与えるインパクトが違うということですね。利便性と柔軟性について教えてください。


甲斐:以前に自社ポイントがたくさん出てきたのですが、今は下火です。なぜかというと、自社ポイントを発行しても自分のところのお店しか使えない。全国展開している企業でも実際にユーザーの家の近くにお店があるかというとそうでもない。ユーザーにとってはもっと広く使いたい。「ANICANA」は現金化とポイント付与の柔軟な設計が最大の特徴です。一部地域や一部店舗でしか使えないなら絶対こっち(「ANICANA」)の方がいいよね、ってユーザーは思うはずなんですよ。


アニドライブでは、こういう戦略設計からシステム開発、現金化の仕組みまでを一括で提案したいと考えています。自社ポイントの復活などは大いに期待するところです。ぜひ色んな企業様と一緒に考えていきたいですね。


垣端:「ANICANA」のメリットやその新奇性についてはすごく理解できました。でも、一般の方には、この「現金化できる」というところは、どうしても「怪しいのでは?」という考えが頭に浮かんでくると思うのですが、もう少しこの「現金化」の仕組みついて教えてもらえますか?


甲斐:仕組み自体はそう複雑ではないのですが、少し図を使って説明します。※下図参照

現金化の仕組みについて、まず全体スキームのところを見てください。ユーザーによる〇〇の体験とありますが、例えば「アニカナゴルフ」というゲームをして、ホールインワンするとトロフィーが貰えます。ユーザーがそのトロフィーを使ってNFT「アルカナ」を生成(ボタンをクリックするだけの簡単操作)します。この「アルカナ」をセカンダリー市場で売却して、その売却代金をユーザーは受け取ることができるというものです。


垣端:このセカンダリー市場で売却するというのがポイントなんですね?詳しく教えて下さい。

この一連の流れが「ANICANA」経済圏の循環構造
この一連の流れが「ANICANA」経済圏の循環構造

甲斐:はい、そうです。利用者は自身で生成したNFT「アルカナ」をエクストラクター(他のユーザーが購入することも可能)に売却します。エクストラクターは、アルカナを分解し、スマートコントラクト構築に必要な「アルカナシャード」という認証キーを取り出します。その際にANIMAという報酬(ガストークン)を獲得することが出来ます。エクストラクターは、取り出したアルカナシャードを我々のような「ANICANA」を使ったスマートコントラクト構築を行う開発者に販売します。

このように当事者が自由経済の中でおこなっている行動によって、結果的に利用者が日本円を受け取っているため、冒頭に申し上げた複数の国内の法律に該当しない設計になっております。


垣端:なるほど仕組みはわかりました。新しい考え方のためなかなか理解が進まないですね。信頼性を高めるためにされていることはありますか?


甲斐:はい、なんといっても信頼性が大切なのでそこには気を使っています。この仕組みを正しく推進し普及させていくために一般社団法人アニカナ業協会を設立しました。ここには行政機関や各省庁OBの経験豊かな有識者の知見を得て運営しています。また法的には日本の四大弁護士事務所であるアンダーソン・毛利・友常事務所に監修をお願いしております。


■プロゴルファーの推し活をNFTでやりたい


垣端:まだ非公開ではありますが、大手の飲料会社と協業の話を聞いておりますが、今後の展開についてお聞かせいただけますでしょうか。


垣端(生態会事務局)と甲斐さん
垣端(生態会事務局)と甲斐さん

甲斐:まず「ANICANA」を活用してインセンティブを付与したいという企業を増やしていくことです。合わせてNFTを使った推し活でのサービス「PERSONA REALITY」を拡大し、マネタイズにしっかりと取り組みたい。そして、認知を広めるためにIPOは最短で成し遂げたいと考えています。上場している会社のサービスということで安心感が全然違ってくると考えています。

その次にやりたいことは、海外への展開です。インドや北米にマーケットプレイスを作って、ドルやルピーでの現金化をできるようにしたい。

そのためにも多くの事業者の方と協業していくケースをふやしていきたいと考えています。まだまだ発展途上なWeb3.0だからこそ、できることの可能性は無限だと思っています。


垣端:わかりました。これからどんどん協業先が増えていくことを願っています。甲斐さん個人は、NFTを使ってやりたいことはありますか?


甲斐:わたし自身ゴルフが大好きで、是非やりたいと思っているのが、プロゴルファーの「推し活×NFT」です。プロゴルファーってすごくファンが多くてフォロワーも多いのですが、ファンはゴルフ場に行って応援するしかない。ゴルファーも予選通過しないと全額持ち出しになるんです。そこをNFTを使って応援して価値をあげていきたい。「ANICANA」でファンとゴルファーを結び付けたいんです。


中野:おお、それは面白いです。将来的にはごく一般の人でも推し活×NFTが出来ますね。あの人好きだからNFTで応援しようとか。


垣端:ブルーオーシャンだから参入したと甲斐さんが仰った意味がとてもよくわかりました。リスクというより、可能性しか感じないインタビューとなりました!本日はありがとうございました。

 

取材を終えて


インタビューをさせていただくまで、仮想通貨やNFTについての知識があまりなく、大変申し訳ないのですが、少し怪しいのでは?と思いながら臨みました。しかし、話をされている甲斐さんからにじみ出てくるお人柄や、お話の内容で大きな可能性を感じる事ができました。新しい経済社会の第一歩として、今後「ANICANA」の動向には目が離せません。

(ライター中野)




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